西国人+歩兵+猫妖精Comics(Created:ぱんくす)


Chapter1:『歩兵』ってナンデスカ?

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 歩兵。
 世界最古の兵科にして最も基本的な兵科。そう、歩兵訓練の始めに教えられた。
 歩兵はハッキリ言って地味でツラい。毎日のように訓練があるし、活躍出来る機会も少ない。そう、あの時までは思っていた――。

 ――羅幻王国の郊外に軍の訓練場がある。
郊外と言っても王都の建造物群は蜃気楼の彼方。交易路を走る兵員輸送車で向かう先はもはや地の果てにして。脱走するなら国境を出た方が早いとつまらない冗談がある程であった。
 この熱砂の海(もちろん夜は極寒の波に変わる)の中を自力で王都まで帰還出来るぐらいなら、いっそそれは一流の兵士と言って良い。
 何故ならば兵士の仕事はその大半がマラソン。すなわち火力を効率良く運用させる為の部隊移動である。

 さて、ここに。
 それは和やかにダブルマラソン(走行距離がマラソンの2倍であるからダブルなのである)を進行中の若い一団が存在する。
 羅幻王国陸軍の新兵達である。

 他の藩国では罵声を浴びせられたり海兵隊よろしき伝統の卑猥なセクハラソングががなり立てられる所ではあるかもしれないが、
 この国では兵権を預かる将が女性(蓮田屋藤乃摂政の事。もちろん彼女も含めたタフな王国騎士達は『貴族の義務』よろしく全員率先して訓練を経験&突破していた)であるためか『比較的上品(笑)』である。

 もっとも教官たちがにこやかに「君達が生き残る為なんだよ」と笑顔で語りかけるだけであり、
実際の訓練内容は、重い装備をつけての身体訓練は勿論、白兵・射撃・フォーメーション・警官隊との合同訓練など、ありとあらゆる戦う術を叩き込まれるそれはシゴキ以外のナニモノでもないほどの
キツさと表現され、砂漠の劣悪な環境も相まって、生命の危機こそ配慮されているもののいっそ他国よりも過酷なものであった。

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